3.17 Mon / 2025

Vol.1
たたらの火

Vol.1<br>たたらの火

約1400年もの歴史を誇るたたら製鉄も、時代の流れとともに和鉄から洋鉄へと需要が変わり、その歴史に幕を閉じることとなりました。しかし時は流れ、現代においては、たたらの製鉄技術だけでなく、自然の中で暮らす人々の営みとたたら製鉄との間に形成された循環型の社会に目を向けられるようになりました。

穿った見方をすると、人々の暮らしを豊かにするために自然を破壊しているようにも見えるたたら製鉄。火を燃やすために森の木を伐り、砂鉄を採るために山々を切り崩す。

今、私たちの目前に広がる山々が連なる景色は、たたらがある前と後では違っていただろうと耳にすることもあります。およそ3tの鉄を生み出すために、砂鉄12t、13t必要になるといわれるほど大量の資源を要し、一方の側面のみを見ると、自然を破壊した歴史、と言わざるを得ないのかもしれません。

しかし同時に、爆発的に文明の進歩を推し進めた鉄の存在によって得る恩恵は、私たちが日々感じることのないほどに当たり前の存在となりました。今や人口700人ほどの小さなコミュニティとなってしまった吉田の町には、かつて1万人もの人々が暮らしていたといわれています。たたら製鉄はこの地や周辺地域を支える一大産業であったことは明白です。

指輪を作る私たちもまた、自然を破壊することで豊かさを得ることに変わりありません。たたら製鉄に学ぶ人と自然との共生。実際にこの地を歩き、私たちの未来につなげていきたいと思います。